世界のMCR

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■■世界初起動! XMCR-15■■




XMCR-15「サンダーウルフ」(丸内はグリゴン)

ゴゴー戦争は地球が異星人に蹂躙された戦争である。
この戦争の経緯についての詳細は省くが、異星人の使用していた人型兵器の猛威が地球人にとって大きなショックを与えた事は重要である。

戦争は地球製の人型兵器であるバルカイザーによって勝利をもたらされたが、戦後の地球ではMCR(有人戦闘ロボット)を大慌てで開発する事になったのである。
世界中の兵器メーカーがMCRの実用化に向けて、やみくもな努力につっぱしる事になった。
戦車、航空機、艦船、ありとあらゆる兵器開発企業がこの計画に参入したのである。
戦車メーカーは陸戦用MCRを、航空機メーカーは、空戦用MCRを、艦船は何もする事が無いかと思いきや、大型MCRの計画にそれぞれ着手する事になった。
そもそも、人型兵器がそれ以前に無かったわけだから、どこが何を作ってもおかしくない。

軍の要求する仕様も、「バルカイザーと同じ大きさ、かつ同性能を持ったもの」という無茶なものもあれば、「とにかく人型をしていれば何でも可」というものまで様々に分かれていた。
仕様を作成した側も、いったい何が出来るか想像もつかないので、開発側に丸投げをしていたという感が強い。

その中でも、最も早く起動実験にこぎつけたのが、ベル・ヘリコプター・テキストロン社が開発した、XMCR-5「サンダーウルフ」という勇ましい名前のMCRだった。

当時はまだ、異星人の技術の研究は始まったばかりの時代である。
陸軍が陸戦用MCRの歩行機能に悪戦苦闘している中で、なんと歩行が可能で、更に飛行する事ができるMCRを世界に先駆けて発表したのだから、世界中のMCR開発者は驚いた。

サンダーウルフの仕様コンセプトはゴゴー軍団の量産型主力ロボット「グリゴン」の小型化である。
大きな肩に細い足等、たしかにシルエットはそっくりである。
ゴゴー軍団の主力兵器を、地球の技術力、生産力に見あったレベルで再現するという発想も理にかなっている。

それでは、サンダーウルフの「飛行性能」から見ていこう。
最大速度は180km/h、巡航速度80km/h、上昇限度1000m、航続距離120km。
どう見ても、一昔前のヘリコプターをはるかに下回る。

「いや、飛行能力はおまけですよ。MCRの本分は手足が着いている事です」
と、開発陣が言ったかどうかは分からない(たぶん言った)。

歩行性能は最大速度80km/h、巡航速度も80kmと全く同じ。
このデータを見ると、スピードの調節すら不可能に近い事は明らかだった。
そもそも、サンダーウルフは歩行時に、常に肩のダクテッドファンを回し続ける必要がある。
地上スレスレに飛行し、足を前後に動かして、月面の宇宙飛行士が歩くように、ゆっくりとスキップするのである。
でも、それってインチキじゃないのか?

こうなったら最後の砦、MCRのマニピュレータによる手作業を見るしかない。
ところが、絵を見ていただければ分かるように、サンダーウルフの腕は、飛行用のダクテッドファンの下に着いている。
サンダーウルフは、ファンを回していないと自由に動く事ができない。
体の向きを変えるために肩の角度を変えれば、腕も一緒に動いてしまうので、作業のしようが無い。
もちろん銃を持たせるなんて事は問題外だ。
初動試験時には、腕の操作を誤って、バランスを見事に崩して派手に転ぶというパフォーマンスを見せた。
その後、無事に起き上がる事ができたのは、四肢のおかげではなく、ファンによる飛行性能のおかげであった。
サンダーウルフは当然の事ながら、技術的には後のMCRの発達には何も貢献していない。
しかし、MCR開発陣を「始めに歩行能力ありき」という考えから脱却させ、空戦用MCRの発達を急加速させた事は特筆に価すると言えるだろう。
もっとも、サンダーウルフは「とんち」よりも「間抜けさ」が語り継がれている事には変わりないんだけど。



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