WOLFLAMEの時代

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■■シグ・フィルドニアとチャトラム人■■
 21世紀初頭、ワープエンジンを実用化させた地球は、アルファ・タリオン星系を始めとして、様々な恒星系に進出していた(GIGANTIC ARMYの時代(地球編参照)

 シグ星系第四惑星はシグ・フィルドニアと名づけられ、TDF(地球防衛軍)艦隊の護衛のもと植民を進めていた。

 アルファ・タリオン星系ではチャトラム人艦隊との戦闘が頻発していたが、シグ・フィルドニアは異星人との交戦もなく、都市の建設は順調に進み、地球は外宇宙進出への新たな拠点を手に入れようとしていた。

 しかし、シグ・フィルドニアとは無関係の情報が、この運命を変える事になる。
 それは2004年に発せられた『チャトラム本星発見』というたった一言の通信だった。
 
 TDFの戦略は最大の宿敵であるチャトラム人の本星を潰すことに大きくシフトし、シグ・フィルドニア防衛艦隊の大多数がチャトラム星攻略に派遣された。
 
 すぐにチャトラム本星発見は誤報だと判明した。
 TDFの偵察艦隊がチャトラム人の大規模な植民惑星を本星と誤認したのである。
 しかし、シグ・フィルドニア防衛艦隊はもとの任務に戻ることはなかった。
 チャトラム星攻略の夢を捨てきれないTDFは、増強された艦隊にさらなる探索を命じたためである。
 
 チャトラム人は間接的にではあるが、シグ星系の戦力を大きく削いだのである。


■■アドリー艦隊の襲来■■
 2005年、シグ星系に突如、アドリー人の大艦隊が出現した。
 ゴゴー軍団統治下からシグ星系を行き来していたアドリー星は、この星系に居住可能な惑星があることはおおよそ分かっており、勢力範囲を拡大する準備を整えていたのである。

 アドリー軍に対し、戦力の劣るTDF防衛艦隊は大規模な敵に対して歯がたたず、シグ・フィルドニアはまたたく間に陥落した。
 TDFはただちにシグ・フィルドニア奪還の優先度を引き上げ、シグ星系にワープ可能な艦を次々に送り込んだが、広範囲に散った艦隊を集結させることはできず、逐次投入されたTDF艦隊はアドリー軍に各個撃破され、貴重な時間と戦力を浪費したのである。


ディナン第8艦隊管理官


■■アドリー人による開拓■■
 アドリー人は短期間でシグ・フィルドニアに存在する、地球人の都市や軍事基地をアドリー化させていった。
 実はこの成果に驚いたのは、地球人よりもアドリー人の方であった。
 地球とアドリー星の技術があまりにも似かよっており、様々な施設を簡単にアドリー人向けに転用できたためである。

 銀河文明圏の技術はもともとゴゴー軍団が発祥であるため、異星人どうしでも技術の転用が可能なことはアドリー人も知っていた。
 しかし、それを考慮にいれても、互いの文明には共通点が多かったのである。

 「地球はいつの間にアドリー星の技術を盗んだのか?」  シグ・フィルドニアのアドリー化が順調に進めば進むほど、アドリー人の地球脅威論は増していった。


■■アドリー文明伝来説■■
 この謎については、現在でも様々な仮説が立てられている。
 地球にはゴゴー軍団の侵略が始まるはるか以前、蒸気機関を動力としていた時代から、アドリー人の技術者が潜入していたという記録が残っている。
 彼が地球にゴゴー軍団のテクノロジーを伝え、それが地球の科学技術の発展に影響を与えた可能性は高い。
 たしかに地球の技術が飛躍的に進歩したのはゴゴー戦争以降である。
 しかし、地球がゴゴー軍団と接触する一世紀前にアドリー文明の技術が伝わっていたとすれば、それらが非公式な形で世界中に広がっていったと考えても不思議ではない。
 この謎については、歴史学者の間でも議論が交わされており結論は出ていない。

 はっきりした事実は、地球とアドリー星は技術交流が簡単であるにも関わらず、大きな戦争をくりかえし、銀河文明が安定した後も敵対関係を続けていることである。

 両者の平和的共存への道はいまだに見えていない。


■■プリニウス級コルベット■■
 TDFがアドリー軍に最初の一撃を与えたのは奪還艦隊ではなく、シグ・フィルドニアが攻撃を受けた時に、地上に残された部隊であった。
 彼らは休暇やメンテナンスなどために運良く攻撃を逃れ、反撃の機会をうかがっていたのである。
 反攻作戦の主力となったのは、プリニウス級コルベット「シーボルト」である。


プリニウス級コルベット「シーボルト」
同型艦には全て博物学者の名前がつけられている


 プリニウス級コルベットは実験艦である。
 この艦は攻撃ユニット「サテライト」を主兵装にするため建造された。
 というのは建前で、建造当時は船体内に満足な武装を施すことができなかったため、サテライトという外部兵装の実験艦として使われることになったという方が正しい。

 サテライトはゴゴー戦争時に超電気科学研究所が開発した、戦闘用アンドロイド「メグリロ」用の超小型兵器であり、それをTDF式に運用しようとしたものである。
 しかし、プリニウス級のうち、サテライトの制御に成功したのはシーボルトのみだった。
 シーボルトは船体両舷を大型化し、サテライトの制御と、充分なエネルギー供給を可能にしたのである。
 シーボルトはサテライトの制御に成功したものの、改装に大きなコストがかかる事も判明し、プリニウス級のサテライト運用テストは終了した。

 結局、プリニウス級はチャトラム星探索に向かった防衛艦隊の穴を埋めるため、シグ・フィルドニアに派遣された。
 通常のコルベット一隻の戦闘力は極めて高いため、書類の上ではシグ・フィルドニアの戦力は維持されたことになった。
 当時の防衛艦隊が欲していたのは、運用しやすい宇宙戦闘機と、機動性はないが戦闘力の高いモニター艦であり、維持費が高すぎるコルベットではなかった。

 防衛部隊はプリニウス級を戦力外として全て地上に放置してしまった。
 TDFの「見切り処分品」を押しつけられた事に対する不満が爆発したとも言えるが、コルベットの母艦も少なすぎたため、どちらにしても実戦配備できる状況ではなかった。

 プリニウス級の主兵装のサテライトがアドリー軍に簡単に奪われてしまったのもこのためである。

 シーボルトも本来なら奇襲攻撃で受けた損傷により出撃不可能のはずだった。
 その事態を打開したのが、皮肉なことに地球側もアドリー星の装置を簡単に流用できたことだ。
 シーボルトの破損部は鹵獲したアドリー兵器のパーツで埋め尽くすように修理され、作戦行動が可能になったのである。


 シーボルトの母艦はボルチモア級航空巡洋艦「ワルシャワ」である。
 ボルチモア級には母艦型と攻撃型の二種類があり、母艦型のワルシャワは戦闘に不向きだったが、優れた大気圏内飛行能力を活かしてアドリー軍を混乱させ、シーボルトの攻撃をサポートした。


ボルチモア級一番艦「ボルチモア」
ラムロン戦争を生き延びたものの、消息不明となっている




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