同人ゲーム製作の心理学 第13回

■■完成しない心理 その6 ゲーム製作の心理ゲーム■■

前回からの続き、ゲーム製作における「心理ゲーム」の例を挙げましょう。

Act1・Aさんが受け持っている仕事が上がってこない

Act2・Bさんが弱って状況を聞く

Act3・Aさんも「今はダメなんだ」と、困っている事をアピールする
   もしくは自信満々に「大丈夫!」と言う

Act4・Bさんは我慢する
   もしくは理論的に諭して、行動を変えようとする

Act5・しかし、Aさんの状況は変わらず

Act6・作品完成せず

Act7・Aさん、Bさん含め、製作者全員がブルーな気分になる

−−−

この場合、Aさんがゲーマー、Bさんがターゲットです。

Aさんの目的は、自分が無力である事を証明する事で、他人から悪印象をゲットする事です。
Bさんは、それに気づかないうちに、Aさんが無意識に仕掛けているゲームのプレイヤーとなっています。
最終的に、プロジェクトが解散する事で、皆が嫌な気分で終わればゲーム終了です。

この例の場合、ゲーマーである、Aさんのポイントとなる行動はAct3です。
仕事を上げないAct1は、まだ仕込みの状態に過ぎません。

Act3で、Aさんも被害者である事をアピールしています。これによってBさんの気をひく事ができます。
また、「大丈夫」と言う場合は、一時的にBさんを安心させる事で、後のダメージを大きくする事ができます。

ターゲットであるBさんのポイントとなる行動はAct4です。
我慢する事で、自分も被害者となります。
諭す場合は、自分が積極的に関わっている分、後のダメージも大きくなります。


ゲームを止めるのは、非常に難しいです。
「ゲームは当事者が気づかないうちに発生する」からです。

カウンセリング等を学ぶ事で経験値を上げると、
「ああ、自分はゲーマーになってるな」
「ターゲットになってるな」
と、多少は敏感になります。
しかし、心理ゲームである事が分かっていても、止めるのは難しいのが実情です。

ゲームの解決策のマニュアルはありません。 強いて言うならば、Act4の段階でAさんと袂を分かつ。
もしくは、プロジェクトを解散する事で、被害を最小限に食い止める事でしょう。

ただし、どちらにしても、Aさんの目的は達成されますし、皆もブルーな気分になるでしょう。

また、プロジェクトを解散し、心機一転して再開しても、
根本的な原因が分かっていなければ、誰かが同じ事を繰り返すかもしれません。

−−−

ゲームが発生する根本的な原因とは何でしょうか?
まず、一つ目として挙げられるのは、ゲーマーの自己評価の低さ(寂しさ)です。
しかし、自己評価の低さは、創作の原動力となるものですし、排除もできません。
自己評価が高い人は、そもそも、このコラムを読む必要がありません。
私達は皆、ゲーマーになる素養があるんです。

二つ目として挙げられるもの。
ゲーム製作の場合、これが最大の焦点となります。
それは「信頼感」です。

Act1の時点で、AさんはBさん(または仲間達)に信頼感を持っていません。
自分は受け入れられるという実感が無い。
だから、心理ゲームを始めたわけです。

Bさんは、遅くともAct4の時点で、Aさんに対する信頼感を失っています。
「何とかなる」と、自分に言い聞かせている状態でも、
おそらく深層心理のレベルでは「こいつはダメだ」と思っています。
ここが坂を転がり落ちる分かれ目だったのかもしれません。

というわけで次回は、「信頼感」に焦点を当てる事にします。


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