同人ゲーム製作の心理学 第12回

■■完成しない心理 その5 心理ゲーム■■

今回は、「心理ゲーム」についての話をします。
残念ながら、「対戦ゲームでの心理戦」とは全く関係がありません。
ダービー兄弟とのスタンド戦や、限定ジャンケンとは無縁なのです。
駆け引きの話ではありませんが、負けたら焼き土下座という話でもありませんので、ご安心下さい。
……安心できる内容になるかなぁ(今から不安をあおってどうする)。

心理ゲームを説明する前に、覚えておいて欲しい事があります。
人間は寂しいと死んじゃう生き物です。
ゲーム創りはそれを解消するための行動だという事は、かなり前の章で書きました。

「寂しい」という事は、単に孤独だという意味だけではありません。
私達は他人から感情的な刺激を受けていないと、寂しくなってしまいます。

「好き」の反対は「嫌い」では無く「無関心」だと言われていますが、まさにその通りです。
人間は、無関心でいられるくらいなら、嫌われた方がずっとマシだと、深層心理では思っています。
無関心でいられるのを避けるために、私達は、無意識のうちに、あの手この手で、他人の関心を得ようとするのです。

「関心」とは、好印象を持たれる事とは限りません。悪印象を持たれる事も関心です。
困るのは、好印象よりも、「悪印象を持たれる方がずっと簡単」だという事です。
この点を覚えていると、心理ゲームを理解しやすくなります。

対戦ゲームには目的があります。将棋なら相手よりも先に王将を取る。麻雀なら他人よりも得点を稼ぐ事です。
必要なものは相手となるプレイヤーです。

心理ゲームも、相手となるプレイヤーを必要とします。
心理ゲームも、通常のゲームと同じように目的があります。
その目的は他人から「悪印象をゲット」していく事です。
最終目標は「全員が嫌な気持ちになる」事です。


普通のゲームは全員が「さあプレイするぞ!」という明確な意識を持って行います。
心理ゲームの大きな特徴は、参加者は「気づかない」うちにプレイを始めている事です。
無意識に操られている状態ですね。

心理ゲームを始めるのは、悪印象をゲットしたい人。「ゲーマー」です。
相手はゲームに巻き込まれる人。「ターゲット」です。

実生活を例に挙げると、
いつも遅刻する生徒(社員)がゲーマー、怒る先生(上司)はターゲットです。
「さて、今日も元気に遅刻するかな」
と思って登校や出社をする人はいません。皆、無意識に行われます。
皆勤賞を貰って、プラスの関心をひくのは難しいですが、遅刻の常習犯になれば簡単に関心をひける事を無意識は知っているんです。


遅刻の常習犯というのは、大げさな例ですが、心理ゲームは誰もがやっています。
解決する気は無いけど、同じ愚痴を繰り返す(大抵、愚痴を聞く相手は決まっています)。
皆が盛り上がっている時に、余計な事を言って水を指す。
他人のあら捜しにやっきになる。
等々

「自分もゲーマーになる事がある」と思っていれば、他人にゲームを仕掛けられても、
「お互い様」と考えやすくなります。 それでもしこりが残るのがゲームなので、お互い様と思えなくても、自分を責める必要はありません。
少なくとも他人だけを糾弾してしまう事には気をつけましょう。

一人で同人ゲームを作っている場合はターゲットがいないので、心理ゲームは発生しません。
心理ゲームは複数で製作している状況で発生する事があります。

次回は、同人ゲーム製作で最もありがちと思われる心理ゲームの事例を挙げましょう。


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