同人ゲーム製作の心理学 第8回
■■完成しない心理 その1 人生脚本とは■■
ゲームを作り始めてはみたものの、結局、完成しなかったという事は非常によくあります。
完成しない理由は単純な言葉で言い表す事ができます。
・プライドが高すぎた
・自信が無かった
・飽きっぽかった
・人間関係のトラブルが起きた
たしかに全てそうなんですが、「プライド」等の簡単な言葉で終りにしちゃうと心理学の出る幕がありません。
ゲームが完成しない理由を心理学的に、もう少しつっこんで考えてみましょう。
今回はこのコラムの慣例から外れて「交流分析」という心理学を元にした少し専門的な話になります。
コスモ心理研究所、第4章の「ストローク対ストローク」以降を読むと、より理解が深まります。
第1章から読めばもっと理解が深まりますが、その分疲れます。
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人間は同じ過ちを繰り返してしまう事が何度もあります。
学校や職場で起こすトラブルのパターンが似ていたり。
交流分析では、これを無意識が引き起こす「人生脚本」と考えています。
脚本に書かれたように同じ筋書きを繰り返すわけですね。
人生脚本は人間の心理的緊張が高まった時に「無意識的に」発動する行動パターンです。
この行動パターンは、自分が無力な幼児の時に「この方法を使えば生きていける」事が原点となります。
幼い子供が狭い世界で潜在意識に刻みこんだ経験則を大人になっても使うわけです。
子供の頃、怒ればやりたい事が出来ると思ったは、大人になっても怒りで意志を通そうとします。
素直である事が一番と思った人は、大人になると必要以上に卑屈になる事があります。
行動すればなんとかなると思った人は、大人になると困った時に活動的になります。
無力さを示せば他人が助けてくれると思った人は、大人になると失敗を繰り返します。
欲しい物はあきらめる事しかないと思った人は、常にあきらめる事で心の負担を減らします。
上に挙げたものは、行動パターンの一例にすぎません。
誰もが、これらの全てを一度や二度はやった事があると思います。
しかし、一度や二度では無く高い頻度で行う行動は人生脚本にもとづいた行動かもしれません。
それは「短気」等の性格や、「やっても無駄だ」という考え方に表れます。
僕の場合、組織の中では目上の人(子供の頃は、先生や保護者会、社会人になると上司)と対立する事が非常に多いです。
喧嘩ごしの対立はもちろん、相手が理解のある人でなら相談という形をとる事もあります。
その内容は僕に反省すべき点がある場合もあれば、今でも僕の落ち度が見あたらない場合もあります。
どっちが悪かったかは価値観の違いなので人生脚本とは関係がありません。
脚本に関係があるのは、僕が「目上の人を困らせる」パターンを繰り返していた事です。
そして、自分の意志を押し通し恩人でさえもがっかりさせてしまうのです。
つまり「目上の人と対立する」という行動パターンが僕が子供の頃に形づくった脚本の一つです(僕の脚本は他にもあります)。
もう少しつっこむと、この場合の目上の人とは「常識の管理者」です。
より詳しい脚本の筋書きは「常識と対立せよ。そして管理者に自分の力を見せつけろ」だと考えられます。
思い起こしてみると、僕は不良学生でも不良社員でもなかったのに、しょっちゅう学校や職場の面談室に呼ばれてました。
うわあ…… 自分で書いててビックリした。
子供の頃に何があったか分からないけど(大抵分からないものです)、昔から「問題児」だったんだなあ。
冒頭に書いた「学校や職場で起こすトラブルのパターンが似ていたり」する人はもちろん僕の事です。
今回は「人生脚本」の紹介(というより僕の黒歴史の紹介)だけで凄いボリュームになってしまったので、いったん終了します。
まったくゲーム創りに触れませんでしたが、まずは「そういう心理状態もあるんだな」と思っていただければ幸いです。
続きは次回で!
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