コスモ心理研究所-0104-

■■感情を乱すものは誰だ■■


ここ子
ねえ博士。否定的な感情に気づかなくても、放っておくうちに、感情が元通りになる事はありますよね。
実はあたし、感情に気づく事自体がストレスの元になったりするんですけど……

気づかないうちに、感情が元通りになるならば、その方がストレスが無くていいかなあって思うんですよ。

博士
うんうん。自分の否定的な感情に気づくのは本当に辛いことじゃな。
できれば気づかずにすませたい事も沢山あるじゃろう。
じゃがな。自分が感情に気づかなくても、それは言動に表れる。するとどうなる?

ここ子
他人に八つ当たりしちゃったりします。

トーバー
本人は感情に気づかなくても、他人は感情の影響を受けてしまいますね。

博士
そう。本人が気づかなくても、その感情は周りを傷つけたりする。
そして、他人の対応もだんだん変わってしまい、最後には本人も傷つくことになる。

ここ子
うーん。そうですか。他人を傷つけるのはやっぱり嫌ですね。
あたしが腹を立てたりした時は、その気持ちに早く気づいて、周りを傷つけないようにした方がいいのかぁ。

でもあたし、他人から傷つけられるのも嫌なんですけど……
周りが一方的にあたしを怒らせたり、傷つけたりするのはどうしようも無いんですか?

トーバー
自分を怒らせたり、傷つけたりするものが世の中から消えて無くなれば、
最初から感情をコントロールしなくてもすむというわけですね。

ここ子
そう言われるとだいぶ自分勝手に聞こえるけど、まあ、結局そんなとこね。

だって周りの人達が自分の感情を悪くさせることもあるのに、
あたしの方が感情をコントロールしたり、自分の感情を穏やかに伝えたりするのって、ちょっと納得できないよ。

トーバー
周りの責任で害された感情に対処しなければならないのが自分というのは、たしかに不公平ですね。

博士
ふむふむ。君達は、感情は周りの出来事が引き起こすと思っているわけじゃね?

ここ子
ええ、そうです。いくらあたしでも、何も起きて無いのに、いきなり泣いたり怒ったりしないですもん。

博士
なるほど。ここ子君の考えを図にするとこうじゃな。

@周りの出来事

A感情の変化

ここ子
そうです。怒らせる人がいるから怒る。誉めてくれる人がいるから喜ぶんです。

トーバー
原因があるから結果がある。私はここ子さんの論理を指示します。

博士
ほぉーう!
なるほど。君達は実に幸せ者で羨ましいのう。

ここ子
え、本当?
あたし、幸せ者なんですか? 嬉しいな。

トーバー
ここ子さんは素直に喜んでいますが、
私には「幸せ者のような愚か者」という、皮肉を言われたようで不愉快に感じますな。

博士
おや。ワシは二人に同じ事を言ったのに、二人には別の感情が生まれたようじゃの?

ここ子
あ、本当だ! 不思議だ〜

トーバー
我々の解釈が異なった為に、我々の中に生まれた感情も異なったんですね。

博士
その通り。
感情の発生を図にすると、本当はこうなるんじゃ。

@周りの出来事

A本人の受けとり方。価値観。

B感情の変化

トーバー
なるほど、周りが直接自分を怒らせるのではなく、周りの言動が自分にとって気に入らないと考えた結果、
怒りが湧きあがるというわけですな。

ここ子
なんだかややこしいなあ。
他人があたしを怒らせてるわけじゃないの?

トーバー
ええ。他人の感情を自在に操る事は不可能です。
超能力か魔法でも使わなければね。

ここ子
うーんと、ええと……
同じ事を経験しても、感じかたは人によって違う……

あたしが感じる事は、あたし自身の考え方から生まれるわけだから……
あ、そっか! だから他人はあたしの気持ちを変えたりできないのか。

私が「あの人が私を怒らせる!」って言う時はいつも、
私の感情が他人に無理矢理変えられているように感じていたんだけど…。

トーバー
ふむ。自分の感情は自分の解釈の結果生まれているのに、他人のせいにしていたのですな。

ここ子
そう言われると耳が痛いけど、たしかにそうだね。

おまけに、そうやって怒りが積もってることに気づかないようにしてたもんだから、
何故だか苦しくてたまらなかったなあ。

博士
良い事に気づいたね。だから自分の感情は、他人を責めたりせずに、
自分で責任を持って対処しなければならないんじゃ。

ここ子
じゃあ、怒りや悲しみを感じたら、自分が悪いわけだから、自分を責めれば良いんですか?

博士
いやいや、自分を責めても何にもならないよ。
責任を持つという事と、何かあったら責めるという事は違うんじゃ。

問題が起きた時に、自分や他人を悪者にしたり責めたくなるのは仕方の無い事じゃ。
しかしな、それでは問題は解決しないんじゃよ。

自分の気持ちを素直に受けとめて、自分の感情に気づけば、その気持ちを他人に伝える事もできるじゃろう。
また、自分の価値観の大切さに気づけば相手の価値観を尊重して、相手に配慮した話し方ができるじゃろう。

そうやって他人をいたわりつつ、同じように自分の心もいたわってやれるといいのう。

ここ子
そうですか、安心しました。自分を責めるのは止めときます。
あーあ、博士は温厚そうだし、感情をコントロールしなくても、いつも笑顔でいられたんでしょうね。
羨ましいなあ。

博士
とんでもない!

ワシも昔は
「俺は精神的にタフだから何を言われても平気。その代わり他人にもずけずけ物を言うぞ」
なんて言っていたよ。
その割には他人の言動にいちいち反応して、すぐに口論をしておった。

実は精神的にタフだったのではなく、自分の感情に気づかないだけだったんじゃな。
だから沢山の人を知らないうちに傷つけていたはずじゃよ。

ここ子
そうだったんですか。紆余曲折があって、今の博士がいるんですか。人に歴史ありですね。

トーバー
だてに齢を重ねていたわけではないのですね。

博士
そう。だから今ではトーバーに何を言われても笑っていられるんじゃよ。

トーバー
血圧が上昇していますが、本当はお怒りなのでは?

博士
何を言うか! ワシは全然怒っとらーん!!


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