コスモ心理研究所-0303-
■■受容って何だ？■■
トーバー
まずは前回のまとめから入りましょう。
ロジャースは人間には自分を成長させていく「実現傾向」があるという事でしたね。
ここ子
そうそう。
実現傾向を発揮させるには、歪んだこだわりを捨てて、ありのままの自分に気づく必要があるんだよね。
カウンセリングは、その手助けをするんだったかな？
トーバー
はい。カウンセリングとは、相談者が実現傾向を発揮する事で、
自分の力で問題を解決する手助けをするのが目的という事でした。
ここ子
で、どうしたら相談者がありのままの自分に気づく事ができるのかって事なんだけど……
トーバー
私は無理にでも直させれば良いと主張していたのですが。。
ここ子
だから、それじゃダメでしょ？
トーバー
駄目ですか？
とっておきの二千円札をあげると言っても駄目ですか？
デコピンするぞと脅しても駄目ですか？
ここ子
ダメでしょ？
トーバー
それでは、その人の実現傾向は無いものと思ってあきらめるしかありませんな。
ここ子
うわー。あきらめ早すぎ！
でも、結局、何が必要なのか、あたしにもさっぱり分からないわ。
博士
では、そろそろ答えを出すとしようか。
ここ子
いよっ！ 待ってました！
博士
それはな「相手を一人の人間として尊重する」事じゃよ。
ここ子
え……？ たったそれだけですか？
それなら、あたしでもやってると思いますよ。
トーバー
相手が人間であれば、人間として扱うのは当然じゃないですか。
私も誰に対しても、礼儀正しくふるまっているつもりですが。
博士
いや、相手を尊重するというのは、単に礼儀正しく接するとか、
それだけのものではないんじゃよ。
それはとても難しくて、簡単に忘れてしまうものなんじゃ。
ここ子
もっと礼儀正しくしなきゃ駄目なんですか？
あたし、テーブルマナーとか苦手なんですけど。
博士
いやいや。そういう事じゃないよ。
ロジャースは相手を尊重するため必要な態度を３つ挙げているんじゃ。
トーバー
「努力」「友情」「勝利」ですな。
ここ子
そりゃ少年ジャンプの編集方針だ！
博士
正しくは「受容」「共感」「自己一致」じゃよ。
ここ子
「受容」「共感」「自己一致」ですか？
博士
そうじゃ。
まず、受容から説明しよう。
「受容」とは、自分が相手の事を価値観にかかわらず受け入れる事じゃ。
トーバー
私は大丈夫です。
私はいろいろな価値観を持っている人が好きですから。
ここ子
いろいろな価値観？ どんな？
トーバー
芸術を愛する。哲学を愛する。
名誉を重んじ、時流に流されず、ウルトラマンタロウを馬鹿にしない。
ここ子
で、その価値観を一つも持ってない人は？
トーバー
ハッ！ とうてい、受け入れられませんな。
博士
残念ながら、それは受容とは言えんのう。
自分がどれだけ多様な価値観を持っていても、
その価値観をもとに相手を評価していては駄目なんじゃ。
ここ子
どうすれば良いんですか？
博士
相手の容姿、職業、能力、性格等にかかわらず、相手を無条件に受け入れ、
かけがえの無い一人の人間として認める。
これが「受容」なんじゃ。
ここ子
なんて美しい言葉なの！ とっても感動しました。
でも…… あたしはそんなに寛大になれるかなあ……
やっぱ無理！ あたし、受容はパスさせてもらいます。
博士
ハッハッハ！ 人間はそんなに簡単に神様のようにはなれんよ。
まずは相手の価値をすぐに決めつけず、「できれば受容してみようかな」くらいの
気持ちでいれば良いんじゃないかな。
ここ子
うーん。そのくらいなら……
博士
つけ加えるなら、親が赤ん坊に向ける愛情は無条件の受容なんじゃ。
トーバー
たしかに、赤ん坊は、社会にも家庭にも貢献しない、無価値な存在ですね。
夜中に泣いたりするし、手間のかかる分、無価値以下と言えるでしょう。
ここ子
何言ってんの！ 赤ちゃんはこの世に生きているだけで価値があるんだよ！
博士
そう。それが無条件の受容なんじゃよ。
ここ子
え？ そうなんですか？ 何だか光が見えてきたかも！
トーバー
では、私もまず、ここ子さんを受容する事から始めます。
ここ子さんは粗暴で粗野で粗忽ですが、寛大な心で受け入れます。
ここ子
そのケンカ、買ったぁ！！！
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