コスモ心理研究所-0301-
■■人生相談の謎■■
ここ子
さあて、お仕事も一段落したし、お茶にしようかな。
…… うーん。ロイヤルティーにロイヤルクッキー。あたしって優雅〜
トーバー
そして、見ているＴＶは昼のワイドショーですか？
ここ子
何？ 人のすることにいちいち文句をつけないでよ！
トーバー
ああ、怒らない。怒らない。ほらほら、人生相談が始まりましたよ。
ここ子
あ、いつもこれが楽しみなのよ。それじゃ、もう邪魔しないでよね。
…… …… …… ……
トーバー
…… …… …… ……
ここ子
…… …… …… ……
トーバー
ねえ、ここ子さん。
ここ子
ん、何？
トーバー
何故、ＴＶの人生相談はうまくいかない事が多いんですか？
ここ子
え？ そんな事無いでしょ？ だって、ちゃんと相談も聞いてるし、
「○○しなさいよ」とか「そりゃ奥さんが悪いよ」とかアドバイスもしてるし。
トーバー
ええ。アドバイスもだいたい理屈に合っています。
しかし相談者が電話を切る時は皆、どことなく不満な感じですよ。
ここ子
言われてみればそうだよね。
みんな無理矢理説得されたみたいで、あまり納得してない気もするなあ。
トーバー
ふーむ。
実に不思議ですな。
博士
二人とも良いところに気づいたね。
それなら人生相談に欠けているものは何だと思う？
ここ子
うーん。アドバイスが間違っているのかなあ。
トーバー
そういう事もあるかもしれませんが、全てが非論理的ならば、誰も相談しないと思います。
ここ子
じゃあ時間が足りないのかな？ いつも短すぎる感じだし。
トーバー
なるほど。時間をかければ万事解決なのですね。
博士
まずは一つ正解じゃ。たしかにＴＶの人生相談は時間が足りないね。
しかし、ただ時間をかければ良いというものでもないぞ。
ここ子
ええ？ 何でですか？
博士
ＴＶやラジオでは番組の都合上、時間はかけられない。
しかし日常の場なら時間をかけて、こんこんと他人を教え諭す事はできる。
でも、そうする事を何と言うかな？
トーバー
「お説教」です。
ここ子
ああ〜！ あたし、そういうの苦手なのよ。
じゃあ時間をかけて人生相談をしても、結局はお説教になっちゃいそうね。
時間をかけるだけじゃ駄目だとすると、人生相談には何が欠けてるのかなあ。
博士
さて、そろそろカール・ロジャースの話をする時が来たようだね。
トーバー
カール・ロジャースですか？
たしか「来談者中心療法」を創設した、カウンセリング界の「人間核弾頭」ですね。
ここ子
何でそこでドルフ・ラングレンの異名を持ち出すのよ！
それはともかく、ロジャースってどんな人なんですか？ もっと詳しく教えて下さいよ。
博士
ロジャースはトーバーが言ったように、来談者中心療法という技法で、精神医療の流れを変えた人じゃ。
カウンセリングの技法にはいろいろあるが、ロジャースの来談者中心療法は日本のカウンセリング界でも広く普及したんじゃよ。
ここ子
さっきからカウンセリングって言葉が何度も出てますけど、カウンセリングって何なんですか？
人の悩みを聞いたりするっていうのは何となく分かるんですけど、
それってＴＶの人生相談とどう違うんですか？
トーバー
そういえば、人生相談に欠けているものの答えも聞いていませんでしたね。
博士
今はそれらの謎を明かすのはやめておこう。おいおい分かってくる筈じゃ。
ここ子
ええ〜？ すぐに勿体つけるんだから。
トーバー
それでは、ロジャースはどんな理論を考えた人なのかを伺いたいのですが。
博士
そうじゃな。まずロジャースの人間観について説明するとしよう。
ロジャースの人間観とはズバリ、
「誰でもみんな、より健全になろうとする力を持っている」
というものじゃ。
ここ子
ズバリ、よく分かりません。
博士
では、ワシから質問しよう。
ここ子君がなりたいと思うような、理想の性格はどんなものかね？
ここ子
ええと…… 今は自分に自身が持てないけど、
いつか、優しくて行動力がある、峰不二子とクラリスを足して２をかけたような人に……
ってトーバー！ 何よ、その「ハァ、やれやれ」ってポーズは！？
トーバー
いいえ、別に何も。夢を見るのは万人の自由ですから。
ここ子
もう、いいよ。だんだん悲しくなってきちゃった。
やっぱり理想の実現は無理だよねえ……
博士
ハッハッハ！ 気を落とすことは無いよ。
ロジャースは決して無理じゃないと言っているのさ。
ここ子
本当ですか！？
博士
うむ。それでは次回にロジャースの考えを説明するとしよう。
ここ子
よーし、なんだか希望が出てきたぞ〜！
あ、この高枝切りバサミ、便利そう。
博士
ＴＶは消してくれい！
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