コスモ心理研究所-0201-
■■その名はフロイト■■
ここ子
キャアァァァ!!
トーバー
どうしたんですか?
ここ子
今日は朝から資料室の掃除をするつもりだったんだけど……
トーバー
はい。
ここ子
机の上に転がってたルービックキューブを何となく始めたら、いつのまにか日が沈んでたの!!
トーバー
そんな事で悲鳴をあげたんですか。
しかし、今時ルービックキューブにそこまで夢中になる人も珍しいですね。
ここ子
あたしだって普段は遊ばないって。
トーバー
では、怠けていただけなんですね。
ここ子
ちがうってば! その証拠に、あたし、掃除に夢中になる時もあるんだから。
トーバー
どんな時ですか?
ここ子
試験前で勉強しなきゃいけない時とか…。それはもう、すごく頑張るんだよ。
トーバー
何故、他に優先すべき事があるのに、関係無い事に没頭してしまうんですか?
ここ子
うぐっ! また痛いところを……
でも、何でかなあ。
そういう時は大事な事が意識の隅っこに行っちゃうんだよね。
博士
ハッハッハ! 我々人間の心は嫌な事を、自然と無視してしまう特徴があるんじゃ。
ここ子
うわっ! びっくりした。
じゃあ、あたし達が自分の感情に気づかない事が多いのもそのせいなんですか?
博士
その通り。我々は不愉快な感情や、否定的な感情を、気づかないうちに無視してしまうんじゃよ。
ここ子
でも、嫌なことを忘れたくても、全然忘れられない事もありますよ。
なんだか、人間の心ってちっとも思い通りにならないんですね。不思議だなあ。
博士
本当にそうじゃな。人間の心は謎が多い。
じゃが、人間の歴史の中でその謎に挑んだ人は驚くほど少なかったんじゃ。
トーバー
長い間、心の中の世界は人間にとって、禁断の領域でもあったわけですね。
博士
そう。19世紀になってようやく、その世界に果敢に挑み、心の謎を解明する先駆者が現れた。
ここ子
フロイトですね!
博士
その通り! 精神分析の創始者。シグムント・フロイトじゃ。
フロイトは、コペルニクスの地動説。ダーウィンの進化論と並ぶ大発見をしたと言われているんじゃ。
トーバー
ほう。地動説も進化論もキリスト教からは異端であると否定されましたが、
フロイトも同様の目にあったそうですね?
博士
そうなんじゃ。フロイトも教会からもの凄く叩かれた。
地動説は地球が宇宙の中心ではないと説き、
進化論は人間は神が創った存在ではなく、サルから進化したものだと説いた。
そして、フロイトは人の心の中には、知られざる闇の世界がある事を説いたわけじゃ。
それらの説はどれもキリスト教社会では認めがたい事だったんじゃ。
フロイトはその荒波を乗り切って、今の心理学の元を築いたんじゃよ。
その結果、今なおフロイトの理論は心理学の原点として重要な位置を占めているんじゃ。
ここ子
そのフロイトの理論っていうのは、どんなものなんですか?
博士
よくぞ聞いてくれました。
それでは、フロイトの理論の柱。「無意識」について説明しよう。
トーバー
やれやれ。掃除はしばらくおあずけですね。
ここ子
シーッ! そこ!! 静かに話を聞きなさい!!
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