対談:アドベンティア開発秘話
ゴゴー軍団撃退記念 報道スペシャル その2
対談:アドベンティア開発秘話
キミコ:
皆さんこんにちは。超電気科学研究所の羽水(うすい)キミコです。
ゴゴー党撃退記念として、前回のライポーン王国近代史に続き、
様々な話をバルカイザーの開発者、天護(あまもり)博士にうかがいます。
博士、よろしくお願いします。
博士:
うむ、よろしく。
しかし、なんだね。
前ふりがアドベンタム号の時とそっくりじゃないか。
キミコ:
え、そうですか?
博士:
まあ、その工夫のなさは君らしいがな。
キミコ:
私は博士みたいに独創性を追求しないからいいんです。
それに博士が発明したアドベンティアだって、
砲身と砲手が入れ替わるシステムはアドベンタム号と同じじゃないですか。
博士:
あげ足をとるんじゃない。
ワシは優秀なシステムはなんでも謙虚に採用しているぞ。
アドベンティアにもキャタピラや旋回砲塔をつけてるだろ。
キミコ:
そうですね。
おかげでアドベンティアは博士の発明なのに、普通の戦車っぽくなりましたね。
博士:
戦車っぽいんじゃなくて戦車そのものだ!
なにせアドベンタム号と違って休憩室も台所もないんだからな。
キミコ:
ないものを自慢されても……
アドベンタム号は戦闘後は車内でお茶を飲んだり、遊んだりできたんでしょ?
キャンピングカーみたいで素敵なのに。
博士:
アドベンティアは戦闘に特化させた兵器だ。
ロマンを入れる余地などない。
キミコ:
まぁ、たしかに……
作られた時代が全く違うんですから設計思想が異なるのも当然ですね。
話は変わりますが、博士は旧日本軍の戦車は設計しなかったんですか?
博士:
ワシは他人から命令されて発明した物は何もないぞ。
キミコ:
博士の性格ならそうでしょうね。
博士:
軍と面倒なトラブルを起すのはまっぴらだったから、
わざと爆発事故を起して行方不明ということにしてたんだ。
その後は研究所の秘密倉庫で、のんびり設計してたわけさ。
キミコ:
博士らしい派手な偽装ですね。
でも、ハンナさんは博士が死んだと思って、だいぶ悲しんだんじゃないですか?
博士:
ああ、それなら大丈夫。
ハナさんにもその爆発で行方不明という事にしてもらった。
キミコ:
うわぁ…… ハンナさんまで巻き込んでたんですか。
じゃあ、やっぱりアドベンティアは博士とハンナさんの共同設計になるんですね?
博士:
ほとんどワシの設計だが、武器の切り替えシステムはハナさんだ。
キミコ:
なるほど、それでアドベンティアも砲弾を切り替える時、
アドベンタム号と同じように砲身ごと変化するんですね。
普通の戦車は装てんする弾の種類を変えるだけですから。
博士:
うむ! 変形要素の一つもなければ面白くないだろう。
やはりメカは無駄な動きがあるからこそ燃えるんだよ。
分かるかね? これがロマンというものだよ。
キミコ:
えー
さっきはロマンを入れる余地はないとか言ってたくせに。
博士:
まあ、若気のいたりも少しはあったかもしれん。
なにせ当時のワシは若かったからな! 若き天才科学者だったからな!
キミコ:
珍しく非を認めたと思ったら、ついでに自慢するんだから。
博士:
しかし、ワシも天才だからバルカイザーではちゃんと設計を変えているじゃないか。
キミコ:
あのぅ、設計変更ってどの部分ですか?
博士:
バルカイザーは状況に応じて、武器の異なるファイターと合体するシステムを採用しているだろう。
キミコ:
あ! たしかに。
博士:
ワシはバルカイザーの開発前にもいろいろな実験機を作っていたからな。
発明には試行錯誤が必要なんだよ。
そうだ、ワシが開発した戦闘機の話をしてやろうか。
第一次ローラン戦争で大活躍したんだぞ。
キミコ:
いえ、今回はアドベンティアの話だけで結構です。
まだ聞きたいことがありますから。
博士:
しかたないな。
ワシの最強伝説ならいくらでも聞かせてやるぞ。
キミコ:
それじゃ、博士。
アドベンティアが最強の戦車じゃないのはなぜですか?
世界各国の戦車には、アドベンティアより装甲が厚かったり主砲の威力が高いものがありますよね。
博士:
アドベンティアはティーガーなどとは設計思想が全く違う。
あんな、ただ走るだけで壊れてしまう戦車と一緒にしないでほしいな。
キミコ:
たしかに性能をカタログデータだけで判断しちゃダメですね。
最強=最優秀でもないですし。
そう考えると、アドベンティアは修理や整備が簡単にできる優秀な戦車ですね。
しかも、破壊した戦車のパーツを使って改造までできちゃう機能も実は凄いです。
博士:
そのとおりだ!
アドベンティアを開発した当時は、R党の戦力も本拠地も不明だった。
だから、どんな状況でも戦えるようにするため、現場で強化改造できる設計にしたんだ。
キミコ:
ネジのサイズとか、部品の規格が違っても問題なく転用できたのが普通の機械との違いですね。
博士:
そう。アドベンティアはどんな部品でも全て結合してパワーアップできるのだ。
これはどこの国でも、実現できない技術だぞ。
戦場で成長し、戦い続ける能力が本当の強さなのだよ!
どうだ。君でも分かったろう。アドベンティアの超戦車っぷりが。
キミコ:
ああ、はい。よく分かりました。
でも、開発資金の方はやっぱりフラバル財団が出してくれたんですよね。
博士:
うむ。UFOや宇宙人の存在も、まだ秘密にしたかったからな。
信用できるのはフラバル財団だけだったよ。
キミコ:
それじゃ、新聞記者のルーシィさんが研究所に取材に来た時は、博士も困ったんじゃないですか?
秘密がバレるかもしれないし。
博士:
ワシがか?
いや、べつに困りはしなかったな。
「アマモリ研究所ほどの設備はアメリカでも見たことがない。これはすごい!」
と素直に感心するから、その場の勢いで完成したばかりのアドベンティアも見せてしまった。
キミコ:
ええっ!?
若い頃とはいえ、秘密主義の博士らしくないですよ。
博士:
そうなんだよ。
ルーシィ君は聞き上手というわけではないんだが、不思議と警戒心を抱かせないんだ。
キミコ:
なるほど。それも彼女の立派な才能ですね。
博士:
それで、ワシの知っている全ての情報を話したかわりに、アドベンティアで戦ってもらう事にしたんだ。
いっそのこと、仲間になってもらった方が機密保持になると思ったんだよ。
キミコ:
それじゃあルーシィさんの方が困ったんじゃないですか?
博士:
はて、どうだったかな? 多少は驚いていた気はするが……
まあ、結局やる気を出したんだから、いいじゃないか。
キミコ:
よくありませんよ!
博士って、私にもいきなり
「ニードルファイターのパイロットになれ」
って言いましたよね?
博士:
ああ、あれはルーシィ君の成功例があったからだよ。
キミコ:
これからは気軽に他人を巻き込むのは止めて下さい!
私は本っ当に困ったんですから。
博士:
うーん。その辺が君とルーシィ君の違いなんだよなあ。
彼女は人徳があるから、他の乗員もすぐに集めてくれたぞ。
キミコ:
もぅ、それじゃ、私には人徳がないみたいじゃないですか。
でも…… 博士は他人を無理やり巻きこんで仲間にするタイプだけど、
ルーシィさんの周りには自然に仲間が集まった気がしますね。
こうして話してみると、いろいろなタイプの人が地球を守っていた事が分かります。
博士:
巻きこんでも、巻きこまれてもいいから、動けば何かしら結果が出るんだよ。
うまく行くかどうかは、その後の話だよ。
キミコ:
ありがとうございました。
では、対談は終わりにして、さっそく博士も動いてください。
まずは山積みの書類を片づけを手伝って下さいね。
博士:
なんだ、もうワシを巻きこむ側に回ったつもりか。
だいたいその書類はワシなら5分で片づけられるが、君でも半日かければ終わるじゃないか。
ワシは自分にしかできない5分を大切にするよ。
それじゃあ、キミコ君。後はよろしく頼んだぞ。
キミコ:
あ! また逃げた!
それでは急きょ、対談を終了いたします。
コラ! 待ちなさーい!
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対談:ライポーン王国近代史
バルカイザーのひみつ
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ARMED SEVENページ
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