コスモ心理研究所-0410-

■■君の書いた人生脚本■■


博士
さて、トーバーのヒューズも替えたし、これで大丈夫じゃ。

トーバー
震えるな瞳こらせよ、復活の時!

ああ、やれやれ、助かりました。
やはりスーパーノヴァは一生に一度きりの技だったのですな。

ここ子
あんた、スーパーノヴァやってなかったじゃん。
それはともかく、このパターン前にもあった気がするわ。

博士
生きていると、なぜか似たようなパターンの出来事を何度も経験するもんじゃ。
今回はその謎を解く「人生脚本」の解説をするとしよう。

ここ子
人生脚本?

博士
自分の生き方が書かれた物語の事じゃよ。

ここ子
神様が書いた運命ってことですか?
小指と小指をつなぐ赤い糸とか?

ああん! ロマンチック〜!

トーバー
なんと非論理的な!
ここ子さんの指に赤い糸などあるわけないでしょう。

ここ子
キッ! それはどういう意味!?

博士
まあまあ。人生脚本は神様が書いたものじゃないよ。

ここ子
ええ〜? 誰が書くんですか?

博士
自分自身じゃよ。

ここ子
いつですか? あたしは書いた覚え無いですよ。

博士
そりゃ、覚えていないじゃろう。

これは誰もが産まれてすぐに書き始めて、まだ幼い子供のうちに
「私はこんな風に生きよう」
という形で書き上げるんじゃ。

ここ子
どこにですか? らくがきちょうに?

博士
紙ではなく、自分の無意識の中にじゃよ。

人の人生は、自分で書いた脚本に支配されているんじゃ。

トーバー
まさか、そんな事は無いでしょう。
人間は自分の意思で、その場その場で選択を
繰り返して生きているはずですよ。

博士
たしかに人は自分の意思で自由に生きているように見える。
じゃが、実はあらかじめ自分の作った道の上を走っている
部分も大きいんじゃよ。

ここ子
たしかに、何をやってもうまくいく人とか、
いつもついていない人とかもいるような気がするけど……

トーバー
ある種のパターンはあるかもしれませんが、にわかには信じられませんよ。

博士
それでは、ある歴史上の偉人の人生を例に挙げてみよう。

トーバー
誰ですか?

博士
千円札にもなった事で有名な野口英世じゃ。

ここ子
わあ! あたしも少しは知ってますよ。
努力したおかげで大成功したお医者さんですね。
何でもうまくいく人って、こういう人の事だと思ったわ。

トーバー
偉人の成功談ですか。ぜひ聞きたいですね。

博士
野口英世は偉人中の偉人じゃが、その生涯は歪んだ交流の連続じゃった。
左手の火傷のため、いじめにもあったし、畑仕事もできなかった。
その為、本人の自己評価はとても低かったんじゃ。

そんな彼が、自己評価を高める手段として選んだのは、
医者を目指す事じゃった。

トーバー
ちょっと待って下さい。
では、野口の人生脚本には、立派な医者になるまでの物語が書かれていたのですか?

博士
まあ待ちなさい。結論は後じゃ。
まずは野口英世が不遇な少年時代を過ごした点を覚えていて欲しいな。

ここ子
うん。野口英世は子供の頃は、とっても可愛そうだったんだよね。
でも、子供の頃の苦労があったから、その後すごく頑張れたんですよね。

トーバー
野口の頑張りは、低い自己評価を覆すための努力だったというわけですな。
しかし、自己評価が低い事は、何らかの悪影響もあったのではないでしょうか?

博士
そうなんじゃ。野口の子供の時の悔しい思いは、
「学問で功績を上げなければ自分に価値は無い」という
思いこみに繋がっていったんじゃよ。

トーバー
自分の心は条件つきのストロークでいっぱいだったのですな。

博士
そうなんじゃ。野口には自信が無かった。

だからこそ彼は人生の目標を、社会的に認められる事に決めたんじゃ。

そして遂に、社会的な地位を得るチャンスはやってきた。
野口はとある大富豪の令嬢と婚約したんじゃよ。

ここ子
それって逆玉じゃないですか! 大出世じゃない!
努力の甲斐あって、成功をつかめたんですね!

博士
いや、それがな。
持参金だけを貰っておいて、結婚はせずにアメリカに逃げてしまったんじゃ。

ここ子
ええ!? 何で!?
そんな、自分の成功をぶち壊すような事を……

博士
この他にも、友人達から多額の借金をこしらえては踏み倒したり、
たくさんの女性に手を出しては裏切るような行為を繰り返しておった。

トーバー
おそらく、それはゲームだったのでしょうね。

博士
あちこちでトラブルを起こしていたものの、
努力家の野口は学会でも認められ、名声はどんどん高くなっていった。

そして世界中の医学者達にその名を轟かせ、絶頂期を迎えるんじゃ。

ここ子
良かったですね!
絶頂期なんですから、その時は平穏な幸せをつかめたんですよね?

博士
いや。絶頂期にあった野口は、平穏とは程遠い、危険な冒険に出た。
生命の危険をかえりみずアフリカに行き、黄熱病の研究に取り組んだんじゃよ。

そして、自らも黄熱病にかかり、黄熱病の謎を解明する事なく、
異国の地で波瀾に満ちた生涯を終えたのじゃ。

ここ子
う…… ううっ…… ぐすぐす。

野口英世ってかわいそう…。
そんな悲しい運命だったなんて…。

博士
その運命を作り出したのが、人生脚本の力なんじゃよ。

ここ子
脚本? すっかり忘れてた。
結局、どこからどこまでが人生脚本なんですか?

黄熱病で死ぬ事も書かれてたんですか?

博士
いやいや。人生脚本は予言の書じゃあないよ。

トーバー
では、野口英世の人生脚本には何と書かれていたのでしょうか?

博士
「私は成功する価値の無い人間だ。必ず失敗する」
と書かれていたのじゃ。

ここ子
ええっ!? でも、本人はいつも成功する気バリバリだったじゃないですか!

博士
それは人生脚本に対抗して書いた、「対抗脚本」じゃ。
対抗脚本は顕在意識に昇ってくるもので、実際の行動にも表れるんじゃ。

トーバー
では、対抗脚本には
「私は成功する! その為にはどんな努力も惜しまない!」
と書かれていたのですね。

博士
そう。通常、人は対抗脚本に従って生きる。
しかし、人生脚本という真の脚本に逆らうことはとても難しいんじゃよ。

野口英世の場合も、成功すればするほど「成功してはならない」という、
人生脚本に逆らうことになる。

それに耐えられなくなると、無意識のうちに、自分の人生を失敗させる行動を
とってしまうんじゃよ。

ここ子
うわあん! そんな脚本って嫌ですよ〜!

人生脚本って、バッドエンドで終わる破壊的なものばっかりなんですか?

博士
いやいや、安心したまえ。
人生脚本にはネガティブなものと、ポジティブなものがあるんじゃよ。

トーバー
当然、野口英世の人生脚本はネガティブなものですね。

では、ポジティブな脚本は、何をやってもうまくいく人生になるのでしょうか?

ここ子
「わらしべ長者」みたいな人生?
だったら、あたしもそんな人生おくってみたいです〜!

博士
昔ばなしという事はさておき、たしかに、わらしべ長者は
ポジティブな人生脚本の一例だね。

トーバー
何の努力もしていないのに成功したのは
ご都合主義の産物に思えますがね。

ここ子
ちょっと! あたしの夢をバカにしないでくれる?!

博士
わらしべ長者の主人公の人生脚本も一概にバカにできんよ。
この主人公の人生脚本は、「私は他人と積極的な交流をする」というものじゃ。
とてもポジティブじゃな。

ここ子
そうだよ! この人が「他人は信用できない」というネガティブ脚本だったら、
誰とも何も交換しなかったはずだからね。

さすが、あたしが尊敬する人だけあるわ!

トーバー
いつの間にか尊敬する人物にランクアップしてますね。

ここ子
やっぱり、子供の頃にポジティブな人生脚本を書いた人は、
トーバーが言ったみたいに、その後何の苦労もしないで済むんですか?

博士
いや。そんな事はないよ。

ここ子
じゃあ、どんなとこがポジティブなんですか?

博士
困難な状況は本人が望まなくても、やってくるものじゃ。
しかし、ポジティブな脚本を書いた人は、
逆境にあっても前向きに生きる事ができるんじゃよ。

どんなに辛い目にあっても、積極的な構えで乗り越える事ができる。
それがポジティブ脚本の効果なんじゃ。

トーバー
加山雄三は、ガールフレンドとケンカしたり、大学のサークル活動で
トラブルがあったりと数々の困難に見舞われますが、
持ち前の明るさと行動力、そして歌唱力で乗り越える、
典型的なポジティブ脚本の持ち主ですね。

書かれているのは「幸せだなあ〜」

ここ子
そりゃ加山雄三じゃなくて、若大将だ。

トーバー
それに比べて、田中邦衛は女の子には弄ばれる、若大将には殴られる、
典型的なネガティブ脚本の持ち主ですね。

書かれているのは「ちぇっ! 面白くねえの!」

ここ子
だから、そりゃ田中邦衛じゃなくて青大将だ。

トーバー
まあ、それはさておき、
子供の頃にポジティブな脚本が書けた人は良いですが、
ネガティブな脚本を書いてしまった人はどうすれば良いのですか?

フランス映画のように、最後は失恋か無駄死にするしかないですか?

ここ子さんはどちらもお似合いですよ。

ここ子
わあ! 気にしてることをズバリ言ったな?!

博士〜! あたしどうしたらいいですか?!
今回はノストラダムス本を読んで以来の大ショックです〜!!
絶対運命黙示録〜

博士
いいかね。
ここが一番肝心なところじゃから、良く覚えておいてくれたまえ。

「人生脚本は書きなおす事ができる」のじゃ!!

ここ子
本当ですか!?

2000年問題をクリアして以来の吉報ですよ!
ねえねえ。どうやって書きなおせばいいんですか?

博士
それは次回のお楽しみじゃ。

トーバー
うーむ。
しかし、書きなおして良いのですかね?

ここ子
何で?

トーバー
もしも「男はつらいよ」の寅さんが、自分の人生脚本を早期に書きなおしていたら、
誰かとさっさと結婚して、あのシリーズはあっという間に終わっていたはずですよ。

ここ子
話がややこしくなるから、いいかげん映画から離れろ!



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