コスモ心理研究所-0408-

■■OK牧場の葛藤■■


博士
さて、トーバーのヒューズも替えたし、これで大丈夫じゃ。

トーバー
ああ、やれやれ、助かりました。
私のような精密機器はデリケートなのが難点ですな。

ここ子
ああ、言う事がトーバーらしいね。
直ったみたいだね。

博士
それでは「OK牧場」の話をしようかのう。

トーバー
ドク・ホリディとワイアット・アープが悪党相手にバキューンですか?

ここ子
そりゃ西部劇でしょ? っても、あたしもそれしか思いつかないや。
何なんですか? そのOK牧場って。

博士
OK牧場とは、人が自分や他人に対して、
どのような構えを持って生きているかを示す表のことじゃ。

ここ子
どういう事ですか?

博士
例えば、トラブルにあった時に、
相手が悪いと思ったり、自分が悪いと思ったり、
反応は人によって違うよね?

ここ子
はい。あたし、外でトラブルにあうと、
「あたしが悪いんじゃないか」って思っちゃいます。

トーバー
私も同じなんですよ。

ここ子
そうなの? 意外に謙虚だね!

トーバー
私もトラブルがあると、
「ここ子さんが悪いのではないか」と思うのですが、
意外でしたか。

ここ子
「あたしが悪い」が同じなのかっ!

博士
ここ子君やトーバーのように、
人は誰でも、自分や他人を認めたり、責めたりしながら生きている。
それを4つのエリアに分けたのが「OK牧場」なんじゃ。

               OK牧場


人間の基本的な構えはこの中のどれかに当てはまるんじゃ。
ワシらは、この牧場の中のエリアを移動する動物みたいなもんなんじゃよ。

ここ子
OKって、何かと思えば結局ダジャレだったんですかっ!

博士
まあ、心理学者もよくこういう小ネタを挟むものなんじゃよ。

トーバー
このOKというのはどのような意味ですか?

博士
OKは自信や信頼などの肯定的な考え方じゃよ。
NOはその逆じゃね。

では、4つのエリアについて説明するとしよう。


●I'm not OK. You're not OK

博士
まずは「私はNO、他人もNO」からいこう。

トーバー
自分も他人も、どちらも認められない状態ですね。

博士
うん。これは人生は無価値で虚しいという構えじゃ。
全てにおいて、悲観的で、絶望的な見方をする。
物事に対してあきらめやすい。

トーバー
世の中の全てが信じられないのですね。

博士
このような構えになると、自分から人を愛することを知らず、
無意識のうちに相手を拒絶してしまい、自分から人間関係を
破壊することを繰り返してしまう傾向があるんじゃ。

ここ子
人生は虚しいって思うことが、本当に自分の人生を虚しくさせちゃうんだね。


●I'm OK. You're not OK

博士

次は「私はOK、他人はNO」じゃ。

これは、他人に対して横柄で支配的な人がとる構えじゃ。
自分の気に入らないものは攻撃して徹底的に排除したがる。

自分の能力を過大評価しており、野心が強く、他人を思い通りに動かしたがる。
面倒見が良い一面もあるが、平気で他人を切り捨てる事もある。

トーバー
「宇宙の海は俺の海。お前の海も俺の海」なのですね。

ここ子
うわ〜。そりゃあ傲慢だ。
あたし怖いな。そういう人。

トーバー
そういう人達は他人を怖がらせるだけあって、
本人には怖いものは無いのでしょうね。

博士
そうでもないんじゃよ。
このような構えの人は自分では気づかないが、恐怖心が強いんじゃ。
だから他人に対する疑いが強いし、自分の内面を見ることを拒否したがるんじゃ。

トーバー
怖いから見ない。見ないから怖いのですね。

ここ子
怖がりなんだ……
意外な一面だわ。


●I'm not OK. You're OK

博士
「私はNO、他人はOK」じゃ。

ここ子
自分よりも他人を立てる人なのかな?
これは、さっきの人と比べて謙虚でいい人そうですね。

博士
まず、この構えの人は、劣等感、罪悪感が強くて
悩みが多く、憂鬱になりやすい。
人の顔色をうかがって、無理をしてでも良い子になろうとしたり、
他人と親しくする事を避けたりする。

ここ子
自分は辛い思いをしながら、周りに合わせてしまうんですね……

博士
無意識のうちに嫌われようとする場合もあるな。
他人をイライラさせて「憎まれっ子」になったりする事もあるんじゃよ。

ここ子
憎まれっ子かあ……
いつも、いい人に見られるってわけじゃないんだね。


●I'm OK. You're OK

博士
最後は「私はOK、他人もOK」じゃ。

トーバー
これがバランスのとれた、基本的構えなんですね。

博士
これは、自分も他人も大切にできる構えなんじゃ。
自分の利益のために他人をコントロールしようともしないし、
自分を良く見せるために他人につくすこともしない。
他人と本当の意味で親密になれる、理想的な構えなんじゃよ。

ここ子
でも、そんな理想的な考え方をするのって難しいですよ。
こんな人はめったにいないですよね?

博士
そうじゃな。この構えは0〜3歳ぐらいの乳幼児期に形成されるものだからな。

トーバー
この時期に親から与えられる無条件のプラスのストロークが重要という事ですな。

ここ子
ええっ!? そんなに早く?

終わった…… あたしの人生。

トーバー
仕方ないですな。「始め悪けりゃ終わり悪し」なんですよ。

博士
いやいやいや。早合点しちゃあいけないよ。
たしかに親の影響は大きいよ。

しかし、それで全てが決まってしまうわけではないんじゃ。
ワシらはその後の人生経験によって、物の見方を意識して変えることによって、
「私はOK、他人もOK」の構えを身につけていくことが出来るんじゃ。
ワシらは発展途上なんじゃよ。

トーバー
3章のロジャースの説を統合すると、自己概念と事実とにずれのある状態が、
問題のある構えにしているという事ですね。

「実現傾向」を発揮させていき、「自分はOK、他人もOK」に
していく事を目指すという事なのでしょう。

ここ子
やっぱりそれは大変そうだけど、何とかしてみようかな。
結局「終わりよければ全て良し」を目指せば良いんだもんね。

博士
そうじゃ。短気をおこさず、あきらめず、自分をみつめていく。
それが自分自身を変えていく事になるんじゃよ。

ここ子
軽く始まった交流分析だけど、だんだんヘビーになってきましたねえ。
難しいってわけじゃないんだけど、心の暗い部分も見えてきたっていうか……

博士
交流分析でいたずらに他人を分析するのを禁じているのはそういうわけさ。
他人の闇をえぐるのは、危険な事も分かるじゃろう。

トーバー
交流分析を理解しても「他人はNO」の構えを強化させてしまったら
意味がありませんからな。

博士
さて、それが分かったところで、次回は「ゲーム分析」の話をしよう。

ここ子
えっ? ゲーム?!
やった! 次はお気楽極楽だね!

博士
しかし、この後、更なる心の闇が待ちうけていることを、
彼女は知るよしも無かった……

ここ子
何ですか!? 今の不吉なナレーションは?

博士
つづく

ここ子
ちょっと待っ……



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