コスモ心理研究所-0409-

■■ゲームにハマってさあ大変!■■


博士
それでは、今回はゲームについて説明しよう。

ここ子
ゲームって、マリオですか? それとも「UNO」みたいなのですか?

トーバー
ここ子さん、ご存知ですか?
メジャーな「UNO」よりも、マイナーな「TAKI」の方が面白いのですよ。

ここ子
そうなの? 遊んでみたーい!

博士
残念ながら、そういうゲームではないんじゃ。
交流分析におけるゲームは楽しくない気持ちになるものなんじゃよ。

ここ子
楽しくないんですか? ゲームのくせに。

トーバー
「せっかくだから赤の扉を選んだり」するゲームや、
「バントでホームラン」になるゲームのことなのでは?

ここ子
そういえば「未来神話」や「有名芸能人の挑戦状」にも酷い目に会ったっけ。
ゲームにも、つまらないものはあるんだよね…

博士
話が進まないから先へ行くぞ。
前々回、ストロークが貰えなくなると、
人はどうするようになると話したかね?

トーバー
マイナスのストロークを得ようとするという事でした。

ここ子
いたずらをして、怒られたりするんだよね。

博士
そうなんじゃ。
そして、それを本人が意識せずにやってしまう交流を「ゲーム」と呼ぶんじゃよ。

このゲームが何かを知ることで、自分や他人がやってしまう
不愉快で意味の無い交流の正体が分かると思うよ。

トーバー
正体が分かれば対処する事も可能になりますからね。

ここ子
何だかちょっと怖いけど、解説お願いします。

博士
では、ゲームの代表格、「はい、でもゲーム」の例をあげてみよう。

●はい、でもゲームの例
α氏 「あー、今日の仕事も疲れたなあ」

β氏 「お疲れさん! 頑張ってたじゃん」

α氏 「うん。頑張ってはいるんだけどね。やってもやっても終わらないしさ」

β氏 「そりゃ、仕事が多いんだよ。お前のせいじゃないよ」

α氏 「まあね。仕事多すぎなんだよ。
    でも、仕事が多いから早くやらなきゃなんないんだけどさ、
    能率上がんないし」

β氏 「そのうち慣れるよ。気にすんなって」

α氏 「そうだねえ。早く慣れたいんだけどね。
    仕事が多いんだから、早く慣れるはずなんだけど、ダメなんだよ。
    やんなっちゃうよ」

β氏 「そんなに嫌なら、他にやりたい仕事を見つけたら?」

α氏 「うん、でもこの仕事は続けたいんだよ」

β氏 「なら、頑張るしかないじゃん」

α氏 「うん。頑張ってはいるんだけどね。やってもやっても終わらないしさ」

β氏 「そりゃ、仕事が多いんだよ。って、同じ事言わせんな! 勝手にしろ!」

ここ子
あ…… あー、あっ!

トーバー
どうしました?

ここ子
あたし…… 似たような事やった事あるかも……
ぐずぐず言って友達を怒らせちゃうの。

トーバー
たしかにこのような交流は、いずれ相手を怒らせたり、
あきれさせたりするでしょうね。
何故このような事が起きるのでしょうか?

博士
うむ。
では、ゲームの仕組みを解説するとしよう。

まず、ゲームにはプレイヤーが必要じゃ。

ストロークに飢えている人、
マイナスのストロークを欲しがる人が「ゲーマー」となる。

トーバー
ゲームの仕掛け人ですね。
この例の場合、α氏がゲーマーなのですな。

博士
ゲーマーは自分に自信が無い。

ゲーマーは「自分はダメだ」「自分は好かれる価値が無い」という
潜在的な自信の無さを抱えているんじゃよ。

ここ子
自信満々な人はゲーマーにならないんですね?

博士
自信満々に見えても、「私はOK、他人はNO」と思っている人であれば、
それは偽りの自信だから、ゲーマーになってしまうかもしれないな。

そしてゲームは一人ではできない。相手が必要になる。
だから、自分をバカにしてくれそうな人、自分を嫌ってくれそうな人を探すんじゃ。

このゲームの相手を「ターゲット」という。

ここ子
ターゲットはβ氏だね。

トーバー
ちょっと待って下さい。
その話はおかしいですよ。

自信の無い人は、自分は嫌われたくないと考えるものではないですか?
自分を嫌ってもらうために、わざわざターゲットを探す意味があるとは
私には思えませんが。

ここ子
理屈ではそうだけどさ。
ほら、マイナスのストロークをもらう方が簡単だって言ってたじゃない。

博士
そう。
自信が無いという事は、自分はプラスのストロークを得難いと
思っている事でもあるからな。

もちろん、意識してターゲットを探したりはしないよ。
無意識が自分にマイナスのストロークをくれる人を探すんじゃよ。

ここ子
この例でも、α氏はβ氏のことを、わざと怒らせようとしてたわけじゃないんだね。

トーバー
なるほど、ゲーマーが無意識に振り回されるのは仕方の無いところですね。

しかし、ターゲットになりたがる人はいるんでしょうか?
誰だって好きこのんで他人をバカにしたり、嫌ったりしないでしょう。
ましてやゲーマーの誘いにわざわざ乗るなんてありえませんよ。

博士
うん。それもゲームに潜んだ罠じゃ。
ゲーマーが自分のゲームに気づかないように、
ターゲットも自分では気づかないうちにゲームに巻きこまれてしまうんじゃ。

トーバー
ふむ。たしかに、この例のβ氏もいつの間にかゲームに巻きこまれていましたね。
とすると、ゲームの初期段階でそれに気づくのは至難の技という事ですな。

ここ子
ゲームって他にどんなのがあるんですか?

博士
ルール違反を繰り返し、相手の怒りを誘う「キック・ミー」
失敗する事で、周囲の笑いを得ようとする「まぬけ」
その他、たくさんのタイプがあるよ。

そして「はい、でも」ゲームは、
ゲーマーはターゲットの意見に「はい」とうなずくものの、
すぐに「でも……」と打ち消してしまうタイプのゲームなんじゃよ。

トーバー
この例のα氏は態度が謙虚なだけなのではないですか?

博士
表向きはね。
しかし、この中には裏面的なメッセージが潜んでいるんじゃよ。
つまり……

ここ子
つまり?

博士
「私には価値が無い。そして私を元気づけられないお前も価値が無い」

ここ子
う…… ううっ…… それはひどいですよ!
まるで相手を陥れるような、真っ暗なつきあいじゃないですか。

博士
もちろん、ゲーマーもそんな事は意識していないよ。
ターゲットも善意で相手に接しているしね。

しかし、最終的にターゲットはゲーマーに嫌悪感を抱き、
ゲーマーはやっぱり自分はダメなんだと感じる事で、目的を達成するんじゃ。
クリアの報酬はマイナスのストロークじゃよ。

トーバー
ターゲットも自己嫌悪を抱くのでしょうね。

博士
そうなんじゃ。
ゲームの終わりは、お互いが強い自己嫌悪を感じることが多い。
じゃから、誰かと話をしていて、そんな気持ちになったら、
自分がゲーマーかターゲットになっていないかどうかを考えてみると良いじゃろう。

ここ子
自分を振りかえって見ると分かるけど、
あたしゲーマーにも沢山なってるし、ターゲットにも沢山なってた……

博士
そうなんじゃ。
ゲームは決してひねくれ者の特殊な行動じゃないんじゃよ。
ワシらは気づかないうちに、しょっちゅうゲームを始めてしまうんじゃ。

トーバー
ゲームはどこにでも潜む、日常的な行動というわけですね。

博士
最近は日常的なコミュニケーションとして、インターネットを使った交流が盛んじゃが、
そこにもゲームが沢山潜んでおるぞ。

ここ子
新世代のゲームなんですね!

トーバー
ここ子さんの表現は、プレステかサターンの宣伝文句のようですね。懐かしいですなあ。

インターネットの交流で問題になると言うと、
ひょっとして「荒し」のことでしょうか?

博士
そう。
掲示板に他人を中傷するだけの書きこみがあったりするが、
これはゲーマーの心理が働いているんじゃ。

そしてターゲット達が怒りの書きこみをする事で、
ゲーマーは自分が嫌われていることを確認し、無意識を満足させる。

トーバー
そもそも、荒しは一方的な中傷だったり、単なる落書きだったりしているので、
もともとコミュニケーションになっていないですからね。
しかし、落書きのような物でも、ゲームは成立するわけなのですね。

ここ子
中傷とか、落書き的な書き込みじゃなくっても、掲示板内で論争が起きちゃって
結果的に「荒れる」事もありますよね。

博士
そういう時もゲームの場合があるよ。
論争の中心人物がゲーマーとなり、ターゲットを増やしつつ
論争が拡大していく事を隠れた目的とするんじゃ。

トーバー
論争で荒れると言っても、それは議論なのですから、
本人は真剣なのではないですか?

博士
本人は真面目じゃよ。
しかし、ゲーマーは無意識のうちに事態をなるべくややこしくし、自分を認めさせまいとする。
その方がマイナスのストロークを沢山貰えるからな。

トーバー
やはり、インターネットもファミコンも漫画もホラー映画もドリフもデンセンマンも
精神に悪影響を与えるのですね。

心を忘れた科学には、幸せ求める夢が無い!

ここ子
その結論、ワープしすぎ!

博士
インターネットは手軽で匿名性の高い交流手段だから、ゲームが起こりやすい。
その点には気をつけて、ゲームを仕掛けたり巻きこまれたりせんようにな。

ここ子
あたしはもう散々巻き込まれちゃった。

トーバー
インターネットで起きるものに限らず、ゲームを予防するコツは無いのですか?

博士
まずは、自分がゲームをしている事に気づく事。
これじゃよ。

トーバー
それは、自分がゲーマーの時も、ターゲットの時も同じですね。

博士
その通り。
どちらにしても、気づかない事には止めようが無いからのう。

ここ子
自分の感情に気づいていないと、不愉快になっている事にも気づかないから、
ゲームを続けちゃいますよね。

で、ゲームに気づいた後はどうすれば良いんですか?

博士
「ゲームを止めようと心に決める」事じゃ。

トーバー
そのような事はわざわざ言われなくても、
ゲームに気づいた時点で止められるでしょう。

博士
いやいや。ゲームは気づいていても止めるのは難しいんじゃよ。

ゲーマーはもっと話にのって欲しいと思っている。
ターゲットは何とか自分の気持ちを伝えたいと思っている。
ゲームが深く進行していればいるほど、会話を続けたい欲求が強くなっていくんじゃ。

この交流をいくら続けても、お互いの為にならない事を肝に命じて、
断固として止めようとする事が大切なんじゃよ。

ここ子
止めろと言われてもっ、今では遅すぎたっ♪

じゃなくて、上手い止め方はありますか?

博士
ゲームをしている時は、話の内容が非建設的で非論理的になっている事が多い。

じゃから、ゲームを止めるためには、自分が冷静になって客観的に話を進めるのが有効じゃぞ。

トーバー
自我状態のAの心を使うわけですな。

博士
そう。相手の言動に対して感情的になったら、ゲームをますます深めてしまうからな。
かっとなったり、卑屈になったりしないように気をつけよう。

さっきの「はい、でもゲーム」の例で言えば、
β氏は「じゃあ、君はどうするのが一番良いと思う?」
等の質問をして、相手自身が問題を解決するようにする事じゃよ。

トーバー
なるほど、そうすればゲーマーの悩みをターゲットが肩代わりしなくて済むのですね。

ここ子
あたし、Aの心が低いんで、そういうの苦手なんですけど…。

博士
Aの心が使いにくい場合もあるね。
そういう時は、話題を変えるか、話を切り上げるのが良いじゃろう。

トーバー
話題を変える時も、ゲームを止めようとする、強い決意が必要ですね。

ここ子
考えてみると、あたしがターゲットになってるとしたら、
自分だけが冷静になったり、話題を変える努力をするのって、ちょっと不公平だよね。
悪いのはゲーマーなのにさ。

博士
ゲームを起こすのはゲーマーのせいだけじゃないよ。
自分の対応次第でゲームを起こさない事だってできるんじゃ。

ここ子
そうでした。何でも他人のせいにしたがるのもゲームへの第一歩ですもんね。
あたしもゲームを仕掛けてた事もあるんだった。

博士
どんな人もゲーマーになる事を忘れんようにな。
自分や他人を責めなくても良いんじゃよ。

ここ子
分かりました。
はあ、今回もいろいろ身につまされたなあ……

トーバー
ここ子さん、気晴らしにゲームでもしませんか?
もちろん遊ぶ方のですよ。

ここ子
いいね! やろやろ!

トーバー
では、秘蔵の「スペースインベーダー」テーブル筐体を出しましょう。
倒産したインベーダーハウスから頂いてきました。

ここ子
よぉし! どっちがハイスコアを出すか勝負よ!

えいっ! 16連射!!!!!(意味ない)
ていっ! 炎のコマー!!!!(できない)

トーバー
ふむ。それでは私も必殺技を出さないわけにはいきませんな。

エレクトリックサンダー!!!!

博士
おおっ!
トーバーの発する電気により、マイコンがショートして得点が2倍になった!!

トーバー
フ…… …… ……

ここ子
やるわね、トーバー。

トーバー
…… …… ……

ここ子
トーバー? トーバー?

博士! 博士〜! トーバーがまた壊れました〜!



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