コスモ心理研究所-0405-
■■交流あれこれ 前編■■
ここ子
博士―! 前回は性格診断で盛り上がっちゃって、すっかり忘れてたんですけど、
肝心な人間関係のすれ違いの説明がまだですよ。
博士
おお! そうじゃったな。
君達はもう心の中の五人家族はマスターしたね。
トーバー
はい。CP、NP、A、AC、FCです。
ここ子
そ、そう! それです。
博士
これが分かっていると、話が早いんじゃよ。
まず、交流分析では、人間同士の交流を三つのパターンに分けている。
@相補的交流
A交叉的交流
B裏面的交流
じゃよ。
ここ子
なんだか難しそうですね。
博士
なに、分かってしまえば簡単じゃよ。
まずは「相補的交流」じゃ。
これは自分が言った事に対して、相手からスムーズな反応が返ってくる交流じゃよ。
例えば
α氏「昼食には何が食べたいですか?」
β氏「ラーメンです」
ここ子
なんだか英会話の例文みたいだけど、スムーズなやりとりですね。
博士
これを図にするとこうなる。
α氏「昼食には何が食べたいですか?」
これは、情報収集のために、Aの気持ちから相手のAに発信しているんじゃ。
β氏「ラーメンです」
そして、β氏もAの気持ちでα氏に返している。
トーバー
なるほど、お互いがAの心で交流していますね。
博士
もう一つ、相補的交流の例を挙げよう。
αちゃん「ラーメンが食べたいよう」
βさん「それじゃあ、お昼に作ってあげるわね」
ここ子
お母さんと子供の会話ね。ほほえましいな。
博士
図にすると、こうなるんじゃ。
αちゃん「ラーメンが食べたいよう」
子供らしいFCの気持ちで、親のNPにねだっている。
βさん「それじゃあ、お昼に作ってあげるわね」
親はNPの心から、子供のFCに返している。
トーバー
よく見ると、どちらの図も赤い線と青い線が並行になっていますね。
博士
良いところに気がついたね、相補的交流は図にすると
「交流が並行になる」
「発信した心に反応が返ってくる」
という特徴があるんじゃ。
ここ子
いつもこんな感じでスムーズなやりとりができるといいのにね。
なんでなのかな? 時々うまくうまくいかないのよねえ。
博士
では、うまくいかない交流の一つ、
「交叉的交流」の例を挙げよう。
α氏「昼食には何が食べたいですか?」
β氏「下らない事を聞くな! 仕事しろ!」
ここ子
わあ、ひどい。ちゃんと答えればいいのに。
トーバー
しかし、仕事中なのですから、不適切な質問だったのかもしれませんよ。
ここ子
仕事中だって何だっていいじゃない!
博士
まあまあ、二人とも。ここで重要なのはどちらが正しいのかじゃないよ。
このやりとりがうまくいっていない事に注目してくれんかな。
この交流を図にするとこうなる。
α氏「昼食には何が食べたいですか?」
α氏が情報収集のつもりで聞いたのはさっきと同じじゃ。
β氏「下らない事を聞くな! 仕事しろ!」
ところが、今回はβ氏はAからではなく、
厳しい親の心、CPから発信している。
向けられたのは相手の気ままな心、FCに対してだね。
ここ子
見事に交叉してるわ。
これじゃうまくいかないはずだよ。
あたしならケンカだね! デビルチョップはパンチ力!
博士
では、もう一例。
αちゃん「ラーメンが食べたいよう」
βさん「私もラーメン大好き!」
ここ子
なんというか、会話が微妙にズレてるねえ。
トーバー
図にしてみて下さい。
αちゃん「ラーメンが食べたいよう」
βさん「私もラーメン大好き!」
ここ子
お母さんがFCから相手のFCに返しちゃってたんだ〜。
トーバー
図にすると、どう間が抜けているのかが、はっきり分かりますね。
ここ子
そっか。図にしてみればいいのか。
博士ー! 最初のトラボルタ人形の話に戻りますけど、
あれは図にするとどうなるんですか?
博士
それじゃ思い出してみよう。
ここ子「この人形いいでしょ?」
ここ子
うん。この時は子供っぽい気分で、一緒にキャーキャー喜びたかったんだよね。
トーバー
私がそんな事をするわけないじゃないですか。
結果はこうです。
トーバー「そもそもサタデーナイトフィーバーは……」
トーバー
私はAの心から、ここ子さんのAに発信したのです。
ここ子
あれ、これは矢印が並行になってる。
まさか、これって相補的交流だったの?
思いっきり会話がかみあってないのに……
トーバー
私の交流の正しさが科学的に証明されたわけですな。
心正しい科学の子! それが私なのです。
博士
いやいや。これも交叉的交流なんじゃ。
ここ子君はFC→FCに向け、トーバーはA→Aに向けた。
FCから発信された交流は、FCに戻らなければ相補的にはならないんじゃよ。
ここ子
やっぱり、うまくいってなかったのね。
ダメだなあ。トーバーは。
トーバー
それでは、その後の私とここ子さんの会話を図にしてみましょう。
トーバー「TVのリモコンを知りませんか?」
ここ子「そんなのいちいち探すな!」
ここ子
うう……
トーバーがAで情報収集してるのに、
あたしはCPで返してる。
ごめんね。
トーバー
いえいえ。こちらこそ。
では、その後のここ子さんと博士のやりとりを見てみましょう。
ここ子「これ、面白いでしょ?!」
博士「気を配ってもらえて嬉しいのう」
トーバー
ふーむ。どうやら博士の反応はNPからFCに向けていますね。
養育的な優しさが裏目に出たというわけですな。
博士
あの時はすまんかったが、そういう事じゃ。
ここ子
いいえ、あたしも二人の性格を無視して、自分が望んでる反応を押しつけちゃったみたいです。
トーバー
相補的交流が出来て、めでたしめでたしですな。
ここ子
うん。めでたしめでたし。
博士、ここまでの話をまとめると、
相補的交流は良い交流で、交叉的交流は悪い交流って事ですよね?
博士
いや、それは大きな誤解じゃよ。
たとえば、こんな例はどうかな?
α社長「我が社の売り上げが悪いのは、みんなお前のせいだ!」
β社員「ひいぃ! 申し訳ありません。私が至らぬばかりに」
ここ子
うわあ…… 荒んだサラリーマン漫画みたい。
こんなの間違ってるに決まってるじゃない。
トーバー
では、分析してみましょう。
α課長「我が社の売り上げが悪いのは、みんなお前のせいだ!」
β係長「ひいぃ! 申し訳ありません。私が至らぬばかりに」
トーバー
α課長は厳しいCPの心で部下のβ係長の素直なACに発信してますね。
そして、β係長は言うとおりにしています。
ここ子
あれ? 平行。ってことは相補的交流だ。
でも、だからといって正しいわけじゃないですよね?
博士
そう。これは問題のある相補的交流なんじゃよ。
ここ子
ああ良かった。相補的だからこれで良いって言われたら、
あたしどうしようかと思った。
トーバー
心配しなくても大丈夫ですよ。
問題のある交流は長続きしないようですから。
ここ子
なんで?
トーバー
ほら、さっきの例にもあったじゃないですか。
α氏「昼食には何が食べたいですか?」
β氏「下らない事を聞くな! 仕事しろ!」
このように問題のある交流は長続きしないのですよ。
ここ子
ああ、そっか! そうだよね。
問題のある交流は会話にならないんだもんね。
博士
それは違うんじゃよ。
その会話が長続きしないのは関係が悪いからではなく、
交叉的交流だったからじゃ。
しかし、課長と係長の会話は相補的交流じゃ。
相補的交流の特徴は、交流が長続きする事なんじゃよ。
ここ子
って事は、何も変わらないわけ?
博士
うむ。それがな。
特にこういう強弱のはっきりした交流の場合、
エスカレートする事が多いんじゃ。
この関係が続いた場合、
α課長は怒る回数も増すし、怒りも激しくなるじゃろうな。
ここ子
ええっ!? この先ますますいじめられるわけですか?
なにかくい止める手立てはないんですか?
トーバー
辞表を書けば全て解決ですよ。
ここ子
それは最後の手段だろ!
博士
相補的交流を止める方法はあるよ。
職場でなくとも、自分が望まない相補的交流が続いてしまう事は
よくある事だから、このテクニックは覚えておくと良いぞ。
ここ子
なんですか? どうするんですか?
博士
交叉的交流を使う事じゃよ。
ここ子
へ? 交叉? 交叉させたら終わっちゃうじゃないですか。
あ、終わるからいいのか。
博士
こんな交流だったらどうかな?
α課長「我が社の売り上げが悪いのは、みんなお前のせいだ!」
β係長「いえ、消費も冷え込んでいますし、他社も同様に苦戦しております」
ここ子
あ、交叉してる。
トーバー
なるほど、論理的に返せば良いのですね。
博士
論理的じゃなくても良いんじゃ。
α課長「我が社の売り上げが悪いのは、みんなお前のせいだ!」
β係長「まあまあ! ここは景気づけにパァーッと一杯やりましょう!」
こんないい加減な言葉でも、交流は終わる。
ここ子
終わるっていうか、クビになりますよ。
博士
まあ、今のはオーバーな例じゃが、
キーポイントは交叉的交流をする事なんじゃ。
交叉的交流を心がければ会話は続かないわけじゃよ。
トーバー
α課長が交流を続けようと思ったら、相手に合わせなければならないのですね。
そうでなければ、話にならないから交流は止まる。
どちらにしても、部下いびりよりはマシですね。
博士
相手とより良い交流を保つために、相補的交流を使うのは素晴らしい事じゃ。
同じように、自分が望む交流をするために交叉的交流を使うのも、
とても大切な事なんじゃよ。
ここ子
つまり相補的交流と交叉的交流をうまく使い分けようって事ですね。
あ! たしか相補と交叉の他にもう一つ交流パターンがありましたね。
全部教えて下さいよ。
博士
それは次回で良いかな?
今回は図が多くて疲れたよ。
ここ子
ええー!? 終わっちゃうの〜?
トーバー
おや。今の会話は交叉的交流ですな。
図にすると…。
博士
も…… もう、やめてくれい!
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